2015年07月26日
項目の中に水着が入っ
「うなされていたらしいね。留置場の弁当はどうでした? まずかったかね?」
「…………」
「あなたたちから苦情はよく聞くが、なかなか予算がとれなくて」
大山金太郎は、神妙に首をうなだれたまま返事をしない。留吉も声に余裕をもたせ、軽くジャブを送った。
「返事ぐらいしたらどうなんだ!」
その留吉の気負いをすくいとってしまうかのように、伝兵衛はやさしく語りかけた。
「浜はどうでした? やはり汚れていましたか。親父が、といっても四十年近くも前の話ですが、釣りが好きでよくいっしょに熱海に行ったことを覚えてい品牌聲譽管理ますよ。あのころは海がきれいで……。親父なんか、これが実にいい親父で、日に五、六尾はこんな大きなマグロを釣ってたもんですよ。あたしも負けじとカツオなんか手づかみでつかまえてました。年に一度は、鯨だって来てくれたもんです。いや、これはほんとうなんですよ。なんだって手づかみできた時代だったんです、あのころは」
ようやく伝兵衛はふりむき、料理人が材料でも吟味《ぎんみ》するかのような目で金太郎をなめまわした。
「あなたが見た海ですよ、そんなにゴミはありませんでしたか? いいんですよ、そんなにかたくならないでも」
「…………」
留吉はゆっくり金太郎の背後にまわり込み、容疑者の胸倉をねじあげ、張りのいい声でどなりつけた。
「唖《おし》かよテメエ、うんとかすんとか言ったらどうなんだ!」
「まあまあ、いいじゃありませんか」
「しかし部長……」
「きみ、泳げますか? 泳ぎですよ」
「泳げるのか泳げ通渠ねえのかって、部長さんはきいていらっしゃるんだよ!!」
「はい」
「そう。それにしては所持品のてませんが、持っていかなかったんですか?」
「彼女が泳げないもんですから」
「ウーン、海に入らなくても体を焼くことくらいやるでしょう、若い人だったら。熱海くんだりまで夕涼みに行ったとこじつけてみてもね、四時過ぎじゃあまだ夕涼みには早すぎるでしょう?」
「ハア」
「これが裁判での、順当な検DR REBORN投訴事側の論告でしょうね。いくらいい弁護士を雇ったところで、四時過ぎの、日の入り前ときちゃ勝ち目がないって尻《しり》ごみするに決まってますよ。それに第一、熱海なんて温泉場は夕涼みに行くところじゃない。夕涼みならほかにあるでしょ、それらしい所が。熱海なんて所は、中小企業の社長がバーのホステスを連れて一泊旅行に行くところですよね」
「…………」
Posted by tiewengut at 03:09│Comments(0)
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